これは、大手企業のウェブサイトを手がける制作会社に、◯◯社のように作って欲しいと依頼して、作ってもらったのですよ。
と、誇らしげに語る中小企業経営者の方の話です。
ただし、今はまだ期待した成果に結びついていないのですがね・・・どのぐらいの期間で成果がでるのか教えて欲しい、というのが今回ご紹介するご相談の内容です。
ここでいう大手企業とは、誰もがその名を知る有名企業で、この経営者のおっしゃる通り、デザイン、文章共に美しく、確かにどちらの大手企業ですかと、問いたくなるようなウェブサイトに仕上がっています。
中小企業が、大手企業のように見えるウェブサイトを構築しようとする理由は、やはり立派な企業に見せたい、という想いから成り立っているものです。
そして、実際のビジネスとは異なり、比較的容易に真似することが出来てしまうのがウェブサイトです。
確かに、ウェブサイトを構築する際、完成度の高い大手企業のウェブサイトを参考にすることは、有効な手段なのかもしれません。
ただし、何を参考にするのか、という点は強く意識する必要があります。
つまりは、真似するものではなく、参考にするということです。
そこを間違えてしまうと、せっかくお金をかけて作ったウェブサイトが、何ら効果を発揮しないという結果を招く恐れがあり、
これは経営者の方に、絶対に押さえていただきたいポイントです。
大手企業と中小企業のウェブサイトの違い、それは企業の経営戦略がまったく違うということです。
経営戦略が違うわけですから、ウェブ戦略もすべて違うものになるのは、当たり前の話です。
大手企業のウェブサイトの多くは、基本的にブランド戦略です。
お客様は大手企業のことを、良くも悪くも一定のイメージを持っています。
この良くも悪くもがポイントで、名が知れているということが、必ずしも良いイメージを持ってもらえている、ということではありません。
ですので、目指すは“イメージアップ”です。好感度の高い有名人を起用することと同じ目的です。
その上で、商品・サービスを展開し、オンラインショッピングへと広げています。
一方、中小企業で、真っ先に訴求していくことは、
自分たちは何者であるか、何を売り、それはどのような強みを持っているのか、という点です。
まだ一度も会ったことのない、将来お客様になっていただきたい方に向けて、情報発信を行うのですから、
まず、知っていただき、安心を与えて信用を得ること、
そして、この企業と関わると良いのかもしれないと、期待してもらえること、
これが、中小企業のウェブサイトの方向性です。
お問い合わせを受けることも、オンラインで商品を販売することも、
お客様が企業に対して、何らかの期待を持ってもらえた上に、成立していくものである、ということは忘れてはならない事実です。
そしてさらには、真似することが、どういったリスクを手にしているか、ということです。
事業を継続している中小企業には、必ず強みが存在しています。
大手企業に近づくことで、その強みを自ら手放す行為になってしまっている、ということです。
強みをもって差別化を図るべき重要なところが抜け落ちてしまい、その代わりに、大手企業が存在する激戦区に飛び込んでいき、極めて勝ち目のない戦いを挑む行為と、いわざるを得ないということです。
そうなると、成果がでる以前の問題であるということは、理解いただけるでしょう。
中小企業が大手企業のウェブサイトを参考にする点としては、
見やすさ、わかりやすさ、画面の流れなど、ストレスを感じさせないウェブサイト作りとは、どういう点に工夫をされているのか、といったところは、是非とも参考にしていただきたい点です。
そして、清潔感があり、礼儀正しく・・・、ウェブサイトから、そうしたマナーの良さが感じられる点は、真似すべき点と言えるでしょう。
貴社のウェブサイトは、経営戦略と一致していますか?