アフリカンアクセサリーの販売で現地に雇用を生む仕組み作り

Webブランディングを支援する弊社では、たくさんの経営者の方にお会いする機会があります。一つひとつの事業に起業までの物語がありますが、今回はアフリカンアクセサリーの販売で社会貢献を実現されている「Chuui(チューイ)」坂本厚子様の事例をお伝えしましょう。

大ぶりでカラフルな存在感のあるアフリカンアクセサリーを販売

日本にはない質感と艶やかな光沢の大ぶりな陶器アクセサリー。目に鮮やかな色彩や模様のビーズと身に着けたときの存在感が、アフリカンアクセサリーの特徴といえるでしょう。一目で丁寧に作られたとわかる商品には、高級感が漂い、装いに華やかさを加えてくれます。

そんなアフリカンアクセサリーの販売をしているのが、今回ご紹介する「Chuui(チューイ)」の代表・坂本厚子(さかもとあつこ)様です。弊社は頑張る女性経営者を応援しており、坂本様とはご紹介がきっかけでご縁をいただきました。

坂本様の事業のテーマは「フェアトレード」です。アフリカンアクセサリーの販売で、現地に雇用を生み出し、維持し続けていらっしゃるという、とても素敵な方です。日本では珍しいアフリカンアクセサリーに注目したきっかけや現地での製造にこだわる意味、ビジネスを通しての国際協力を続ける理由などをお伝えしていきます。

「Chuui(チューイ)」について

「Chuui」は、坂本様が販売するアフリカンアクセサリーのブランド名、かつ社名です。ケニアの職人の手仕事によって作られたアクセサリーの専門店、かつ日本総販売店というライセンスをお持ちです。自社サイトでの販売だけでなく、オンラインでの取扱店に加え、国内外の実店舗に商品を提供しています。オンラインショップを創設されたのは、2013年12月のこと。

ケニアで採れる良質な土が使われ、女性職人の手によって、ひとつひとつの(陶器)ビーズが作られています。ビーズの色付けや焼きあがったビーズの組み合わせ、紐通しなど、アクセサリーの製造は、まさに手仕事です。ケニア社会で不利な立場にある女性の雇用支援をアクセサリーの製造で実現されています。

このようなビジネスモデルですので、世界フェアトレード連盟の認定商品となっています。世界フェアトレード連盟 は、社会的に弱い立場にある人々の自立や生活環境の改善を目指し、フェアトレードを支援する国際的な機関です。

Chuuiが手掛ける事業そのものの社意義深さはもちろんのこと、自社サイトでの情報発信に力を入れていらっしゃることにも注目する必要があるでしょう。Chuuiの自社サイトには、ブランドのメッセージとなるコンテンツが豊富に用意されています。

販売につながる自社サイト上の豊富なコンテンツ

初めてアフリカンアクセサリーを知った方や、フェアトレードに興味がある方などがChuuiのサイトにたどり着いたとしましょう。そこでは、例えば、「ビーズの美しさはどのように生み出されているのか」「何故、アフリカンアクセサリーなのか」「フェアトレードにこだわる理由は何か」などの興味や関心があって導かれてきたはずです。

Chuuiのサイトには、それに十分に応える質と量の情報が掲載されています。すぐに商品やブランド、会社について知ることができるようになっているというのがポイントです。代表の坂本様がアフリカに留学されたときのことやそこで見た現実、学び、陶器アクセサリーとの出会いなども公開され、Chuuiブランドの意義や価値をすぐに知ることもできます。

陶器アクセサリーそのものの魅力はもちろんこと、ブランドが立ち上がるまでのストーリーも公開され、知るにつれてChuuiを応援したくなる気持ちが湧き上がってくるようになっています。事業そのものに力があるからなのですが、しっかりと情報発信することで、知ってもらう機会を増やす努力をなさっているというのもポイントです。

Chuui 代表・坂本厚子様がフェアトレードを志した理由

坂本様がアフリカンアクセサリーで起業されたストーリーを、かいつまんでご紹介しましょう。

子どもの頃からあった国際協力への興味

坂本様は小さいころから国際協力に興味があったそうです。ご出身は福島で、子どもの頃、テレビ越しに見る海外の世界には興味津々だったとお聞きしています。さまざまな光景が映し出されるテレビ番組の中でも、アジアやアフリカの貧しい生活に衝撃を受け、ご自身が暮らす福島では想像もできないような暮らしが同じこの世界にあることに、画面に釘付けになったとか。

進学された大学では、国際地域開発学を専攻され、所属していた国際開発ゼミの活動として、初めてアフリカへ短期で渡航されます。それがきっかけとなり、もっとアフリカのことを知りたいと思い、長期留学を決めたそうです。

アフリカ各国の中からケニアを選んだのは、国連をはじめとする国際機関や国際協力につながる活動をする組織・団体の存在があったからだとしています。まずは語学からということで、スワヒリ語の学校へと単身入学されます。この行動力が素晴らしいですね。

アフリカへの留学経験

入学したのは、ケニアの首都ナイロビにある寮完備の語学学校でした。多言語を取り扱っていたようで、日本語を学びたい学生と互いの言語を教え合うなどして、多くを学んだとおっしゃっています。言葉はもちろんのこと、治安を含む土地柄に加えて、ケニア人の考え方や文化について理解を深めていったそうです。

学校を卒業後、国際協力の仕事に就かれます。一人暮らしを始められて、日本とケニアとの生活における便利さの違いに改めて気づかれたそうです。中でも、もっとも困ったのは水問題で、断水は日常茶飯事とのこと。あちらでは水不足に電力不足も重なり、シャワーから温水が出ないのは当たり前だったようです。

治安も日本とは異なり、明言されていませんが、治安に配慮しておしゃれしたい気持ちを抑えていたそうです。意識的にTシャツにジーンズというスタイルで日々過ごされていました。洗濯のための水不足もあり、なかなかおしゃれを楽しめないということが、ストレスでもありアフリカンアクセサリーとの出会いにも繋がったと語られています。

現地で知った雇用の現実

働き始めて分かったことに、国際協力の仕事では、ケニアの人々が定職を得ることの難しさや、同じケニア人同士でも他部族に対して抱く感情、外国人労働者である自分に対して抱く感情など、現地でしかわからない現実を目の当たりにしたとおっしゃっています。

ケニアの人々は一度定職についたら、そのポジションを手放さないために相当の努力を払うようです。仕事上の連携はスムーズだったものの、現地スタッフの心中を察すると、きっと坂本様の心中も複雑だったことでしょう。

そのような経験をとおして、求められているのは、国際協力に従事する外国人ボランティアよりも、雇用ではないかと考えるようになったそうです。そう思った坂本様は、アフリカンアクセサリーを日本で販売しようと決意されます。

アフリカン(陶器)アクセサリーを選んだ理由

アフリカンアクセサリーを選んだ理由は、2つあるようです。1つ目は、思うようにおしゃれができない環境で、普段着に華を添えてくれること。2つ目は、アクセサリーを作る職人がシングルマザーで、彼女らの重要な収入源になっている、フェアトレード商品だったからだそうです。

水不足や治安の関係から、なかなかおしゃれができない環境で、陶器アクセサリーに出会ったのは、休日に出かけた青空マーケットでのこと。同じ服でもつけ方次第でガラッと印象を変える陶器アクセサリーの魅力に、夢中になっていったといいます。

青空マーケットに通ううちに、陶器アクセサリーがフェアトレード商品だと知ったそうです。作っていたのは、シングルマザーという社会的に不利な立場の人々が働く工房でした。それでなくとも定職に就くのが難しいケニアで、彼女らが自分で稼いで家族を養うことをサポートできる商品に出会ったのです。

Chuuiに込めた願い

帰国した坂本様は、2013年12月にオンラインショップを開設されます。社名でもありブランド名でもある「Chuui」に触れておきましょう。

「Chuui」の由来

「Chuui」は、アフリカでの共通語とされているスワヒリ語の「Chui」からきているそうです。その意味は、動物のヒョウ。ヒョウ柄そのものの美しさもありますが、厳しい自然の中で凛とした美しさを放つことや、しなやかにたくましく生きていく様を女性に重ね合わせているそうです。ひとつ「u」が多いのは、u=yourselfにかけ、お客様に陶器アクセサリーでおしゃれを楽しんで欲しいという思いからだとしています。

シングルマザーを助けるフェアトレード商品

定職に就くことが難しいケニア社会で、シングルマザーのような社会的に不利な立場にある人々にとって、職を得て働き続けるのが大変なことだというのは、想像に難くありません。そこで自立を諦めることなく、自分の力でお金を稼ぎ、子どもに教育を受けさせ育てていけることは、彼女らの誇りとなり、生活を大きく変える力があると坂本様はおっしゃいます。

ケニアで働いた経験は、ご自身がどれだけケニアの人々に助けられてきたかや、どれほどケニアの人々にとって安心して長く働き続けられる仕事が求められているかを知ることにつながったそうです。そこで出会った陶器アクセサリーとその製造を担う工房の存在、そして工房を支援したいと考えを切り替えられたこと。

労働機会を提供するだけでなく、適切な労働環境や条件を整え、適正な報酬を支払い、公正な取引を行うことで、社会的に不利な立場にある人々の自立を支援する。フェアトレード商品だからこそできる、社会貢献だといえるでしょう。

安心できる品質を提供・修理にも対応

フェアトレード商品は、品質管理も折り紙つきです。ケニアの工房での品質管理は厳密に行われ、ビーズの大きさや模様の出方など、細かいところまでしっかりと管理が行き届いていると聞きます。

ケニアの山麓で採れる粘土質の土から不純物を丁寧に取り除き、艶やかな光沢のある発色の良いビーズに仕上げるのだそうです。肌に触れる金属部分には、アレルギーが起こりにくいニッケルフリーが使用されています。釉薬や接着剤の安全性にも配慮がなされているという徹底ぶりです。

販売後の修理に対応している点も、売ったら終わりではなく「長く楽しんでほしい」という坂本様の思いが伝わってきます。

広がる支援の輪

このような事業を展開されていますので、坂本様のChuuiは多くの方の注目を集めるようになりつつあります。

メディア掲載

ファッション雑誌やウェブメディアなどに、アフリカ特集としてピックアップされたり、著名人の方がChuuiのアフリカンアクセサリーが身に着けてメディアに露出される機会があったりするようです。

特筆すべきは、東京の国連広報センターやJICA広報誌、企業の社会的責任(CSR)をテーマにした雑誌に取り上げられたことでしょう。坂本様のこれまでの活動が、このような形で取り上げられるのは、弊社としても非常に喜ばしいことです。

お客様の感想

Chuuiは、お客様も素敵です。数多くの方から感想が寄せられていることからも、アフリカンアクセサリーそのものに加えて、事業が持つ社会的意義が共感されているとわかります。自分用はもちろんのこと、どなたかへの贈り物として選ばれることも珍しくないようです。社内イベント用のプレゼントに購入された企業もあるようで、何ともしゃれた計らいだと感じました。

事業がお客様の共感を呼び、その共感がChuuiやケニアの工房で働くシングルマザーの励みになる。そして、そこにはしっかりと経済が動いている。この循環が構築されているという点は、素晴らしいというよりほかありません。

まとめ

ケニアで採れる良質な土を使って作られる陶器や独特の色彩や模様からは、アフリカの大地のエネルギーが感じられるようです。そのファッション性はもちろんのこと、現地雇用の維持拡大を助けるフェアトレード商品という点も、Chuuiのアフリカンアクセサリーの魅力といえます。

Chuiiが求められる理由は、それだけではありません。坂本様は自社サイト運用やSNSでの情報発信を積極的に行い、オンラインでの取扱店や実店舗への販路拡大など、事業展開もしっかりと考えていらっしゃいます。そのようなChuuiの事業は、これからますます求められていくことでしょう。

アフリカンアクセサリー「Chuui」

この記事を書いた人

吉野 太佳子代表取締役|中小企業診断士 , MBA , 上級ウェブ解析士 , Google アナリティクス認定資格

Webブランディングの専門家として、中小企業・小規模事業者さまをご支援させていただきます。

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