従業員に向けた経営者の情報発信、
「やっている」と「できている」の根本的な違い。

「吉野さん、私も今年から従業員に向けて情報発信を始めました!」
以前、ご相談いただいた経営者の方が、従業員とのコミュニケーションを図る必要性を実感され、ご自身の言葉で思いを伝えていく、という活動を開始された話です。

これまで、そうした場がなかったこと、そうした必要性を感じながらも、その切っ掛けをつかめなかった、とのことでしたが、今年に入り、気持ち新たに開始されました。

日々、事業の成長を考え、とても立派な考えをお持ちの経営者。
事業を開始された当時は試行錯誤の連続、事業が軌道に乗るようになり、そうした成果に結びついた考えを、従業員にも伝えていきたい。
その中身は十分に整理されており、確立されたものです。

そうしたノウハウとも言える経営者の思考を、会社全体で共有する取り組みを開始され、その報告をくださったのだと思いつつ、重要なポイントをお伝えさせていただきました。

重要なポイントとは、経営者が従業員にむけて情報発信する上で、ご自身の経験に基づき、ご自身の言葉で、根気強く繰り返し継続的に行っていくということです。


当たり前と思われることかもしれませんが、しかし、この当たり前が、非常に重要で、かつ難しいということです。
すでに、そうした情報発信を従業員に向けて行っている経営者の方であれば、ご納得されることかと思います。

その難しさとは、経営者の経験に基づく事業への姿勢を、具体的に言葉にして伝えていくとなると、同じ言葉を繰り返す、ということが起こってしまいます。
当初、興味をもって話に耳を傾けてくれていた従業員も、次第に気持ちが離れていく、という結果になるからです。
そうなる理由は単純で、従業員にとって、当たり前の話になってしまうためです。

さらに申しますと、経営者からの情報発信は、従業員からしてみると言われた通りにやるだけで、自主性を損ねる、つまり、やらされ感だけが伝わってしまうためです。

このような話をしますと、「私はノウハウを多面的に面白く伝えている」、「飽きさせないネタ作りをしている」、とおっしゃる経営者の方がいらっしゃいます。
恐らく、相当に工夫をされ、努力されていることだと思います。
しかし、果たして従業員の方の意識や行動は、変化していますでしょうか・・・?

厳しい言葉で申し訳ないのですが、

経営者と従業員の関係は、どこまでいっても、雇う側と雇われる側、その関係は変わりません。
その中で、情報を発信し伝達していく、ということは、いわば指示命令という本質的な領域を抜け出すことができるかどうか、ということが非常に重要なポイントです。


そこが、わかっているようで、実際には難しい点です。
努力されている経営者の方ほど、事業への思いは強く、そうした結果に陥りやすい、ということです。

経営者として、そうした優れた能力を、いかに従業員に伝えようと、一生懸命になればなるほど、逆効果を招いてしまい、事業の成果に結びつけていくことが困難になってしまうのです。

事業は言うまでもなく、組織で活動しているわけですから、
従業員の意識を変え、行動を変えていく、そのための情報発信を行っていくということ。
当たり前の話ですが、その本質を考えることが、非常に重要であるということです。

この重要な部分を幾度も考え、情報発信していかなければ、組織は積極的に活動する自律型組織に向かわない、ということです。

経営者の事業に対する思考も、従業員へ伝えたい気持ちも、とても重要です。
しかし、従業員の意識、行動を変えるための情報発信は、さらに重要です。

どれだけ頑張って情報発信を行ったところで、「言われて動く」組織になってしまい、当初の狙いとは異なり、逆効果を招いてしまうからです。


経営者は、自分自身が考える望ましい事業活動のあり方をまとめ、戦略に落とし込んでいく。
そのために必要な基本となる考え方、そしてそのあり方となる方向性を学べば、その後は自らの考えで「自律型組織につながる情報発信」ができ、従業員の積極的な活動につなげていくことができるのです。

あなたの情報発信は、望ましい従業員の行動を引き出せていますか?
事業活動のあり方、戦略は定まっていますか?
経営者のチャレンジを私どもは応援しています。

この記事を書いた人

吉野 太佳子代表取締役|中小企業診断士 , MBA,上級ウェブ解析士

Webブランディングの専門家として、中小企業・小規模事業者さまをご支援させていただきます。

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