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中小企業によくあるウェブ戦略の失敗例3つ
弊社に寄せられる中小企業の経営者の方からのご相談に「ネットほうがどうもうまくいかない」というものがあります。このコロナ禍においては、今も対面での営業やサービス提供が難しいという状況にあり、ネットでできるビジネスへの期待が高まっていますから、非常に重要な課題です。
中小企業のウェブ戦略として、「市場を絞る」「差別化を図る」という2つのことがよく知られています。いわゆるニッチ市場を狙っていく戦略ですが、実は思いのほか難しいというのが現状です。その理由はおもに3つあります。
・市場を絞らなさすぎ、または市場を絞りすぎ
・自社から見た差別化とお客様から見た差別化の違いに対する認識不足
・リアル市場とウェブ市場との違いに対する理解不足
市場を絞り込みすぎて失敗してしまった事例については、以前に何度かコラムで取り上げたことがありますので、よろしければご覧ください。差別化を図ることについても同様です。ということで、リアル市場とウェブ市場の違いについて見てまいりましょう。
リアル市場とウェブ市場の違いが生まれる理由
リアル市場とウェブ市場の違いを理解するには、店舗を例に挙げて考えるとわかりやすいです。例えば、店舗をもつ事業者にとっての市場(お客様)は近隣や地域一帯というケースが多く、仮に専門店として商圏が広くなったとしても、日帰りで行ける程度でしょう。
日本語サイトという前提になりますが、ネット市場となると、ターゲット市場は国内全域に広がり、商圏が大幅に拡大します。ネット販売をするとなれば、なおさらです。EC(電子商取引)市場はコロナ禍でも右肩上がりで、2020年度には20兆円を突破する勢い (※)ですから、多くの企業が進出しようとしていることは想像に難くありません。
(※) 経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
このような状況ですので、店舗では近隣には競合がいなかったというケースでも、ネット市場では埋もれる可能性が高くなってしまうのです。そのため、実店舗でリアル市場を狙っていたときと同じ戦略では通用せず、ウェブ市場ではウェブ市場に特化した戦略が必要になります。
店舗を開店させたときのことを振り返ってみてください。入念な市場調査を踏まえて事業戦略を決定されたのではないでしょうか。競合他社の数や場所、ターゲット層の人数、市場規模、また事業者側のキャパシティも考え合わせたはずです。これとまったく同じことがウェブ市場でも必要になります。
ウェブ市場での戦略立案に欠かせないサイト分析
ウェブ市場での戦略を立てるために欠かせないのが、サイト分析です。ウェブとリアルとの相違点はいくつかありますが、その中でも特に押さえておきたいのは、ウェブ市場ではお客様の行動が記録に残るという点です。ウェブサイトに残されたお客様の足跡を丁寧に追う作業がサイト分析といえます。
これまでリアル市場における調査は精度を上げることが難しく、予算が潤沢な大企業にしかできませんでした。その典型が、テレビの視聴率です。視聴率を計測する仕組みもそうですし、その視聴率をもとに番組やCMが日々制作されていることを考えると、とんでもない金額が動いているといえます。
しかし、このような莫大な広告費を投じても、詳細な顧客の意見を吸い上げることはできません。その一方で、ネット市場ではサイトへのアクセス解析など実際のデータにより、お客様の実態を把握することが可能になります。(=サイト分析)
これは、前述した中小企業によくあるウェブ戦略の失敗例の「差別化」にもつながってきます。どのような属性のお客様がいつサイトを訪問され、何をどのように見ていかれたのかがつぶさに分かるため、お客様の興味関心を知る上での重要な手がかりとなるからです。
それに加えて、ネットでは検索をすれば競合他社や類似商品、サービスを発見できます。どのような商品をどのようなデザインで売っているのか、売価はいくらか、狙っているターゲットはどのような人なのかなどを推測することも、リアルでの調査よりも低予算で手軽におこなうことが可能です。
まとめ
リアル市場からネット市場にシフトする際に大切なのは、まずその違いを理解し、ウェブ市場に向けた戦略を再構築することです。冒頭でご紹介した中小企業によくあるウェブ戦略での3つの失敗例を踏まえ、それを回避するために欠かせないサイト分析を取り入れることをおすすめします。
お客様の足跡が記録に残るウェブという世界で、その記録を読み解くことには非常に大きな意味があるといっても過言ではないでしょう。これからも成長が見込まれるウェブ市場に大きな期待が寄せられている中で、どのような成果を上げたいのか、そのために必要なことは何かをお考えいただけますと幸いです。