Googleの新しい品質評価ガイドライン「E-E-A-T」が、2022年12月16日に発表されました。それを受けて、今後のSEO対策が変わってくると予測されています。今回は、Googleがコンテンツを評価するポイントとなるE-E-A-Tを取り上げ、コンテンツ制作にどのように影響してくるのかと、中小企業にとってのメリット、すぐに発信できるコンテンツなどについてお伝えします。
目次
E-E-A-Tとは何か
E-E-A-Tとは、Googleの新しい品質評価ガイドラインのことです。品質の高いコンテンツが検索上位に選ばれるようにするための評価指標ともいえます。読み方は、「イーイーエーティ」または「ダブルイーエーティ」です。
従来はE-A-Tで、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)とされていました。今回、新たにExperience(経験)が加わり、E-E-A-Tへと変更されています。大きな変更ではありませんが、Tに若干変更も加わりました。
では、早速それぞれの要素を詳しく見ていきましょう。
Experience(経験)
E-E-A-Tの最初のEはExperience(経験)です。記事で取り上げている内容について、実体験や誰かの経験が含まれているかが問われます。
誰かの実際の経験や自分の実体験を伝えているか、実際の経験がある程度織り込まれているかなどが評価されます。実体験を持つ人によって作成されたコンテンツが高く評価される場合もあるとされています。
例えば、製品やサービスについて紹介するコンテンツを制作する場合、使用または利用したことのある人によって制作された記事が高く評価されるということです。経験したからこそわかることが記事内容に盛り込まれているかどうかだともいえます。
- 使い方や利用方法で分かりにくかったところ
- 使ってみてわかった良いところや課題点
- 経験したからこそわかる準備しておいたほうがいいこと など
また、利用歴が長いほど高い評価を得るということにもなるのかもしれません。常識的に考えて、初めて購入されたお客様よりも、お得意様のほうが、その製品やサービスについてよく知っているといえるでしょう。長く愛用されているお客様だからこそわかる、製品やサービスの良さもあると考えられます。
次のEからは、旧E-A-Tです。
Expertise(専門性)
E-E-A-Tの2つ目のEは、Expertise(専門性)です。記事で取り上げる内容が、専門性を持つものになっているかどうかだといえます。
いわゆるポータルサイトと呼ばれる総合的な情報を取り扱うサイトは別として、そのサイトが特化された分野を取り扱う専門性が高いかどうかを問うものです。何について情報発信をしているかわからないほど多種多様な情報を取り扱っていると、ユーザーが求める情報にたどりつきにくくなってしまいます。
それに対して、特定の分野を取り扱うサイトでは、ユーザーが求める情報にたどり着くまでのルートや時間が短く、また詳しい情報が掲載されている可能性も高いといえます。専門性の高いサイトはGoogleからの評価が高いとされていますので、取り扱う分野を決めておくことが重要です。
Authoritativeness(権威性)
E-E-A-TのAは、Authoritativeness(権威性)です。記事で取り上げる内容の発信者が、その分野の権威者かどうかを問います。
素人が作成した記事よりも、その分野でのキャリアが長い方や有資格者、権威者によって作成または監修された記事のほうが、権威性が高いというのは、誰しも理解できるところでしょう。特に、医療や法律、金融など、高度な専門性を持つ分野では、専門家によって作成または監修されているかどうかが評価される傾向にあります。
このことは、誰が作成した記事かわかるという「透明性」も、望まれているといえます。匿名やハンドルネームで公開されている記事よりも、誰が書いたかわかる記事のほうが選ばれるのは、自然なことでしょう。また、経験の浅い専門家よりも、経験の長いベテランのほうが評価される傾向にあるといえます。
Trust(信頼性)
旧E-A-Tで、TはTrustworthinessとなっていましたが、今回の変更でTrustへと変わりました。表現は変わりましたが、意味するところは同じです。つまり、記事内容が信頼できるものかどうかということです。
情報が正確で偽りがなく、安全な情報が安定して提供されているかが求められているといえるでしょう。例えば、製品やサービスを売りたいがために虚偽の情報で勧誘するようなサイトは、Googleの評価が低くなることがおわかりいただけるでしょう。
また、Trust(信頼性)は、E-E-A-Tの4つの要素の中で、もっとも重要なものだとしています。Experience(経験)とExpertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)の3つの要素によって、Trust(信頼性)が構築されると考えているからです。
仮に3つの要素のうち、いずれかの評価がどれほど高くても、サイトとしての信頼性に欠けるものは評価が下がると、新しいガイドラインに明記されています。例えば、その分野の権威が監修した記事であっても、ユーザーを騙して商品を買わせるために使われた場合などです。
Experience(経験)が加わった理由
Googleは常にユーザーにとって有益で信頼性の高いコンテンツを評価しようと努めています。これは、Googleが国際的に信頼されている検索エンジンであることと関連しています。今回、経験が評価基準に追加されたことで、情報の精度が向上することは間違いないでしょう。
過去には、記事に不自然に多くの検索キーワードが含まれていたり、多くの外部リンクがあったりすることで高評価を得ていました。しかし、そのような品質基準では、検索基準を満たすだけの記事が上位に表示され、ユーザーにとって有益な情報を提供することができませんでした。
たとえ検索上の評価基準を満たしていても、ユーザーにとって有益でない情報を提供することはGoogleの目指すところではありません。Googleの目指しているのは、「ユーザーファースト」、つまりユーザーにとって信頼できる結果を提供し続ける検索エンジンであることです。そのために必要な対策が講じられていると理解することが大切です。
ここまでE-E-A-Tの考え方について見てきました。次に、中小企業がE-E-A-Tに取り組むメリットについて見ていきましょう。まずは、E-E-A-Tの前提となる情報発信の重要性について説明します。
中小企業こそ積極的な情報発信を
弊社では、E-E-A-Tが中小企業にとってプラスになると考えています。E-E-T-Aは、Googleによるコンテンツの評価基準ですので、そもそも評価の対象となるコンテンツが存在しなければ話が始まりません。しかし、積極的な情報発信をおすすめする理由は、ほかにもあります。
Webブランディングを提供する弊社は、非常に魅力的な事業で勝負されている中小企業がたくさんあることを知っています。しかし、その素晴らしい事業が、一般的にはあまり知られていないというのが現実です。その一因として、中小企業の経営者が情報発信の必要性を十分に感じていないことが挙げられます。一部の経営者は、自分たちが既に情報を発信しているつもりかもしれません。
自社にとっては当たり前のことでも、お客様や弊社を含む外部の視点から見るときには、違って見えるということを、ここで改めて認識していただきたいと思います。弊社からすると「事業の魅力」といえる活動内容を発信しないでいるのは、宝の持ち腐れのように見えてしまいます。
自社製品やサービスの特徴はもちろんのこと、他社と異なる点、開発までの経緯や重ねられた工夫、起業の理由やきっかけなど、日々の活動のすべてがオリジナルのコンテンツとなりえます。地道に情報発信を続けていくことで、自社の事業を知ってもらう機会が増える。それが、情報発信をおすすめする理由です。
中小企業がE-E-A-Tに取り組むメリット
さて、ここで一旦、中小企業がE-E-A-Tに取り組むメリットを確認しておきましょう。前章でご紹介したようなコンテンツを、偽りや極端な誇張なく、誠実に発信することで、中小企業には以下のようなメリットが生まれると弊社は考えます。次のような順番で、徐々に効果が表れてくるでしょう。
- コンテンツの品質が評価される
- SEO上の評価が上がる
- 検索順位が上がる
- 知ってもらう機会が増える
- 問い合わせが増える
少し時間がかかりますが、質の高い情報発信を続けていると、評価は必ず上がっていきます。SEO施策に注意が向いてしまっているコンテンツよりも、その分野での本物を評価するというのがE-E-T-Aの本質です。
それに加えて、この十数年で、Googleは何度も技術的なアップデートを重ね、検索エンジンとしてコンテンツの品質を評価できるようになるまでに進化してきました。先に触れた被リンクの多さやとにかく検索キーワード散りばめるといったテクニックは、もう通用しません。
このような流れは、日々努力や工夫を積み重ねている中小企業にとって、チャンスだと弊社は考えています。E-E-T-Aのために何か特別なことを計画する必要はなく、自社の魅力とは何かを改めて整理し、分かりやすくまとめておくことだけでいいのかもしれません。
あまり気づかれていない中小企業の魅力
そもそも元気な中小企業や荒波を何度も乗り越え生き残っている中小企業には、ジャンルによるものの、何かしらの軸があり、事業を絞り込んでいるという特徴があります。つまり、専門性の高さがあり、それが揺るぎない魅力になっているということです。
専門知識の深さや品質へのこだわり、技術を支えるエンジニアの存在など、その分野ではほかのどの企業も並びえない得意分野や高度な技術などが、中小企業にはよく見られます。
自分以外の人のことはよく見えても、意外と自分自身のことには気づかないというのは、よくある話ですが、法人でもまったく同じことが起こっているといえるでしょう。
E-E-A-Tに沿い中小企業がすぐに発信できるコンテンツ
では、E-E-A-Tを満たし、かつすぐに発信できるコンテンツには、どのようなものがあるのか見てみましょう。
Experience(経験)
- FAQ(よくある質問)
- ブログ記事
- 販売実績 など
FAQは、経験を活かした質の良いコンテンツです。お客様からよくいただく問い合わせの内容とその回答は、ほかのお客様の参考になります。経営者の考えや開発者の工夫などをブログ記事にして発信するのもいいでしょう。
Experience(経験)では、実体験が求められますので、自社で経験していることを情報として発信しましょう。繰り返しになりますが、Googleが目指しているのは、ユーザーにとってより有益な情報を評価する仕組み作りです。
Expertise(専門性)
- 研究レポート
- 開発秘話やこぼれ話 など
自社製品やサービスを支える技術や理論に関する研究レポートは、専門性を高めるのにふさわしいコンテンツです。新製品やサービスを提供し始める際には、そのきっかけとなった出来事や経緯などのストーリーを公開するのも、専門性を理解してもらうのに役立ちますし、興味を持ってもらうきっかけとすることもできます。
Expertise(専門性)では、ジャンルが特化されているか、専門知識・技術が紹介されているかどうかが問われます。ジャンル決めて事業を絞り込んでいる中小企業の場合、なぜそこで勝負をしているかということを伝えるとよいでしょう。それが、お客様にとっての判断材料になります。
Authoritativeness(権威性)
- ホワイトペーパー
- 会社の沿革
- 受賞歴 など
ホワイトペーパーは、自社製品やサービスの特徴をはじめとして、それがどのように課題解決につながるかという、お客様にとっての価値を説明する重要な情報です。創業が古く歴史のある企業は、そのこともぜひ発信しましょう。第三者機関や自社業界でよく知られている組織からの評価や受賞なども、自社の権威性を高めます。
Authoritativeness(権威性)を簡単に向上させる近道はないといっていいでしょう。日ごろから、事業に誠実に取り組んでいくしかありません。何らかのメディアに掲載された場合や受賞などの経験がある場合は、そのことを伝えるという方法があります。
Trust(信頼性)
- 正確な情報を提供する
- 信憑性の高い情報を利用する
- 一次情報をなるべく多く記載する
- 発信者が誰かを明確にする
- いつの情報か明示する など
Googleは、E-E-A-Tの中の”Experience”、”Expertise”、”Authoritativeness”の3つの要素が重なり合った際に、コンテンツの信頼性が生まれるとしています。そこで、配慮したいのが、いかに分かりやすいコンテンツにするかということです。分かりやすさを作っているのは、言葉選びだけではありません。
情報を正確に伝えるのは基本です。誰しも間違いはありますので、気づいたら速やかに対処しましょう。参照する情報や公的機関や社会的信頼のある組織が公開している情報とし、偽りがないことを示すためにも、引用する際には出典を明らかにしましょう。どこから拝借してきたのか分からない情報は、不信感を高めてしまいます。
また、発信者が誰なのかを公開することも大切です。個人名の公開には踏み切れないという場合には、部署名や問い合わせ担当者などといった役割を明示し、どのような立場の人が書いているかを記載するだけでも信頼感アップにつながります。
情報の公開日や更新日を加えておくと、いつの情報なのかを誰もが判断できます。検索でヒットしたけれども、いつの情報か分からず参考にしなかったという経験は、誰しもあるのではないでしょうか。このようなことは、日付を記載することで回避できます。
もしコンテンツ制作で迷ったときには、E-E-T-Aを参考にしましょう。そのための指標です。
まとめ
E-E-A-Tは、Googleが記事などのコンテンツを評価する上で基準となる重要な指標です。昨年末、旧E-A-Tに新たにExperience(経験)が加わりました。大切なのは、あくまでも、お客様や潜在顧客などユーザーにとって役に立つ情報を発信し続けることです。
中小企業には、専門性の高さや独自性という強みがありますので、慌てる必要はありません。E-E-A-Tという追い風を受け、日ごろの頑張りをコンテンツ化し、発信してみましょう。
Google品質評価ガイドラインの最新情報
https://developers.google.com/search/blog/2022/12/google-raters-guidelines-e-e-a-t?hl=ja