美容サービス業におけるリスク分散の稀有な成功事例!顧客との信頼関係により物販が事業を支えるエステサロン

前回のコラムでは、BCPのリスク分散という考え方を取り入れることが、中小企業、特に美容サービス業にも役立つことをお伝えしました。今回は、その成功事例として、エステサロンを経営する事業者様をご紹介します。既存顧客との信頼関係にもとに、この状況でも全国各地からお客様が訪れるというそのサロン経営をリスク分散という視点から考察してみましょう。

コロナ禍にありながらも経営が順調なエステサロン


コロナ禍にあっても、施術を希望するお客様が途絶えることはなく、物販も堅調というエステサロンが存在します。今回、事例としてご紹介するのは「予防美容Lourdes(ルルド)」様です。昨年の春、さらなる飛躍を求めて、福岡から東京へと進出されました。

ルルド様の特徴を一言で表すならば、それは高い技術力といえます。日本ではまだ数少なく、医療にも使われるINDIBA(インディバ)という高周波温熱機器を使ったボディケアや、エンビロンによるフェイシャルなどを提供なさっているエステサロンです。

サロンオーナー兼経営者である駒沢由香様の高い技術力は、インディバを開発したスペインのインディバ社から数々の表彰を受けるほどですので、いわばお墨付きと言えるでしょう。

その他、施術や手技としてほかにもさまざまな資格を取得していらっしゃいますし、食事(栄養)や体と心のバランスなどについても資格をお持ちです。体を中心に、体を作る食事や体とつながっているメンタルを含めた総合的なサポートを「予防美容」と位置付けていらっしゃいます。

また、ご自身が使用して効果を実感した商品だけをお客様におすすめするという姿勢には徹底したものがあり、見る目は相当厳しいです。そのことが十分に理解されているため、顧客は駒沢様が選んだ商品を使用するという好循環ができています。

この積み重ねにより構築された信頼関係があるからこそ、コロナ禍でも全国各地から通うお客様がいらっしゃいますし、事業が物販に支えられているという現状があるのです。

経営の4要素から見るルルド様のリスク分散について


前回ご紹介したBCPのリスク分散では、経営の4要素「ヒト」「モノ(サービス)」「カネ」「情報」からリスクを考えます。ルルド様のケースではどうなるのか、それぞれの要素から見てみましょう。

「ヒト」:

駒沢様ご自身は代替がきかないという点にリスクがありますが、既存顧客からの高い信頼は何物にも代えがたいものがあります。現在、リニューアルオープンにともないスタッフを募集中です。

「モノ(サービス)」:

今回は美容サービス業ですので、モノをサービスと読み替えます。

サービスを支える技術力の高さは前述したとおりです。手技に秀でていることだけでも素晴らしいことなのですが、それに留まらず、栄養面や心理面、全体的なバランスについても知見を深めていることが顧客の安心感や信頼感をさらに増しているといえます。

サロンは清潔感にあふれ、施術だけではなくベッドやタオル、枕、施術に使用する水にいたるまで細やかな気遣いが行き届いています。いたれりつくせりのサービスで、お姫様気分を堪能できることも大きな特徴のひとつといえるでしょう。

「カネ」:

施術による売上はもちろんのこと、物販の売上も事業の柱となっています。福岡から東京への移転に際しても、そのタイミングを見据えて資金面で着実に準備を進めていました。

「情報」:

自社ホームページで情報を発信しています。予防美容のコンセプト、施術メニューとその効果、料金、お客様の声、駒沢様のブログなどが掲載され、もちろん予約することもできるようになっています。既存顧客との関係強化だけでなく、見込み客にも必要な情報が盛り込まれています。

このようにルルド様は、4要素から見てもほぼ欠点がなく、コロナ禍でも事業が安定しているという稀なケースです。当然のことながら、これは一朝一夕に築き上げられたものではありません。美容サービスという事業において、その事業が抱えるリスクを常に考えてきたからこその成果です。

多様化する美容サービス業界のリスクに備えて確立したポジション


変化の激しい美容サービス業界でルルド様が成功されていることには、大きく2つの軸が関係していると考えます。それは、全体的なケアと時間軸のシフトです。

昨今、エステサロンの利用者は年齢の幅が広がり、シニア層や10代の利用が増えつつあるとされています。女性だけでなく男性にも広がりを見せていますので、それに応じてニーズも多様化します。

脱毛や美顔(フェイシャル)といった、その部分に焦点を当てたサービスが定着する一方で、ボディパーツの取り扱いを超えた癒しや学びなど、インナービューティーへのニーズが高まっているともいわれています。

このような状況の中で、ルルド様は予防美容を打ち出されています。体の表面ではなく深部に働きかけるインディバの考え方をはじめとして、美しさを形成するいくつもの要素を取り入れたトータルビューティを実践されています。

起きている現象への対処という「事後」から予防美容という「事前」に時間軸をシフトされていることも、時代の大きな流れを捉えているといえるでしょう。健康寿命やセルフメディケーションなど、健康に対する意識も予防が重要視されるようになってきています。

蛇足かもしれませんが、美容サービスの低価格化を引き起こしているともいわれるクーポンサービスを、ルルド様は行っていません。技術とサービスに対する信頼性が高く、顧客が納得して支払うため、値引く必要がないのです。

まとめ


今回事例としてご紹介したルルド様は、コロナ禍にあっても、お客様との信頼関係が基盤となり、物販の売上に支えられています。いつもお客様に感謝されている素敵な事業者様ですが、それは日頃からBCPを意識しリスク分散を怠らなかった結果です。

話が飛ぶようですが、美容サービス業の経営者が女性の場合、大きなメリットが2つあると思います。ひとつは、年齢を重ねることにより経験する心身の変化を踏まえて、お客様に最適なサービスを提供できること。もうひとつは、取り扱うサービスや商品の良さを、自分自身の美しさで表現できるという点です。

女性経営者の方には、年齢を重ねることが魅力となるこの業界でぜひ活躍していただきたいと思います。そのために支援が必要でしたら、ご遠慮なくお問い合わせください。

予防美容ルルド様
https://salon-lourdes.com/

この記事を書いた人

吉野 太佳子代表取締役|中小企業診断士 , MBA,上級ウェブ解析士

Webブランディングの専門家として、中小企業・小規模事業者さまをご支援させていただきます。

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